主よ、永遠の休息を

宗教の本かと思って放置しててすみませんでした。

主よ、永遠の休息を

主よ、永遠の休息を

通信社の東京支社社会部に勤務、池袋警察署の記者クラブに詰める鶴田吉郎。
コンビニ強盗現場に居合わせて犯人逮捕をスクープし店員芳賀桐江と知り合う。
逮捕に協力して立ち去った男から暴力団の事務所が襲撃された事件を知らないか
という奇妙な問い合わせが。
襲撃の有無を調べる過程で吉郎は、14年前に起きた女児誘拐殺人事件の
犯行現場と思しき実録映像がネット上で配信されていたことを突き止める。
犯人は殺害を自供したが、精神鑑定によって無罪となり…。

ソウルケイジ』と同じく、切ない父性を描いた物語でした。
伏線があからさますぎて話半ばでオチが読めてしまったけれど、
それでも一気に読ませるさすがの筆力。
父性愛の深さと、ひとつの犯罪がきっかけになってどんどん広がっていく
悲劇の連鎖がやるせなく切ないです。
読み終えた後で本を閉じてタイトルを目にした瞬間が
何よりも一番切なかったなあ。

だいすきなもうひとつの五人組が表紙を飾った『ダ・ヴィンチ』で
作者の誉田さんがインタビューに答えてまして。

ダ・ヴィンチ 2012年 02月号 [雑誌]

ダ・ヴィンチ 2012年 02月号 [雑誌]

その中で、この『主よ、永遠の休息を』はそもそも
姫川玲子のために作った事件であったということを話しておられました。
推理小説を推理せずに読む私ですら話半ばで気づいてしまった伏線と犯人に
姫川玲子が気づかないなんてはずはなく、
きっとあっという間に犯人逮捕に至った事件であったと思えます。
姫川玲子に解かせずに、新聞記者さんを駒にしてたぶん正解。
そのおかげで、深い余韻を感じられたと思うのだー。